DevTools の新機能 (Chrome 99)
翻訳者の technohippy さん、レビュアーの yoichiroさんと lacolaco さんに感謝いたします。
DevTools の改善に興味がある方はサインアップして Google User Research にご協力ください。
WebSocketリクエスト数の制限
Network パネルに WebSocket リクエスト数の制限が新しく追加されました。これまで、ネットワーク制限は WebSocket リクエストに対しては有効ではありませんでした。
Network パネルを開き、WebSocket リクエストをクリックして、メッセージの通信状況を確認するために Messages タブを開いてください。通信速度を制限するためには Slow 3G を選択します。
Chromium issue: 423246
Application パネル内に新しく追加されたReporting API ペイン
新しく追加された Reporting API ペインを使用すると、そのページで生成されるレポートやそれらの状況を監視できます。
Reporting API はセキュリティ違反や廃止されるAPIの呼び出しなどを監視できるように設計されています。
Reporting API を使用しているページ(例、 デモページ)を開いてください。Application パネルのBackground services セクションまでスクロールし、Reporting API ペインを選択します。
Reports セクションではそのページで生成されたレポートのリストとそれらのステータスが表示されていて、クリックするとレポートの詳細を確認できます。
Endpoints セクションには Reporting-Endpoints
ヘッダで設定されている全エンドポイントの概要があります。
Chromium issue: 1205856
Recorder パネルに要素が可視/クリック可能になるまで待機する機能が追加
Recorder パネルでユーザーフローの記録をリプレイする際に、要素がビューポート内で可視もしくはクリック可能になるまで待機するか、次のステップをリプレイする前に要素がビューポートに含まれるまで自動的にスクロールするようになりました。これまでは、リプレイは即座に失敗していました。
次の画像はビューポートの外側に位置し、有効になるとスライドインするオフスクリーンメニューの例です。メニューをトグルし、メニューアイテムをクリックするというユーザーフローです。これまではメニューアイテムがまだスライドインしておらず、ビューポート内に表示されていないので、最後の段階で失敗していました。この挙動が修正されています。
Chromium issue: 1257499
コンソールのスタイル設定、フォーマット、フィルタの改善
ANSI エスケープコードを使用したログメッセージの正しいスタイル設定
ANSI エスケープシーケンスを使用してコンソールメッセージのスタイルを適切に設定できるようになりました。これまで DevTools コンソールは ANSI エスケープシーケンスを非常に限定的な(場合によっては不具合もある)サポートしかしていませんでした。
Node.js にとって、chalk や colors, ansi-colors、kleur などのスタイル設定用のライブラリの助けを借りて ANSI エスケープシーケンスでログメッセージに色付けすることは一般的です。
今回の変更により、DevTools でも適切に色付けされたコンソールメッセージで、Node.js アプリケーションをシームレスにデバッグできるようになりました。自分で確認するにはこのデモを開いてください。
DevToolsのコンソールメッセージのフォーマット指定やスタイル設定についてさらに学びたければ、Format and style messages in the Console ドキュメントを参照してください。
Chromium issues: 1282837, 1282076
%s
、%d
、%i
、%f
を正しくサポート
フォーマット指定子Console が Console Standard の規定に従って%s
、%d
、%i
、%f
を指定した型変換を適切に処理するようになりました。これまでは変換結果が一貫していませんでした。
Chromium issues: 1277944, 1282076
より直感的なコンソールグループフィルタ
コンソールメッセージをフィルタリングする際に、メッセージの内容がフィルタと一致するか、グループ(または祖先グループ)のタイトルがフィルタと一致するとコンソールメッセージが表示されるようになりました。これまでは、フィルタに関わらず、コンソールグループタイトルが表示されていました。
また、コンソールメッセージが表示される時に、所属しているグループ(または祖先グループ)も表示されるようになりました。
Chromium issue: 1068788
ソースマップの改善
ソースマップファイルを使用した Chrome 拡張機能のデバッグ
ソースマップファイルを使用して Chrome 拡張機能をデバッグできるようになりました。これまで、Chrome 拡張機能のデバッグに関して、DevTools はインラインのソースマップだけをサポートしていました。
Chromium issue: 212374
Sources パネルのソースフォルダツリーの改善
Sources パネルのソースフォルダツリーがフォルダ構造と名前付け(例、"../"、"./"など)により乱れにくく改善されました。内部的には、ソースマップ内の絶対ソースURLが正規化された結果が使用されています。
Chromium issue: 1284737
Sources パネルにワーカーのソースファイルを表示
相対 SourceURL を持つ Worker(例、Web Worker、Service Worker)のソースファイルが Source パネルに表示されるようになりました。これまでは、ワーカーのソースファイルは正しく扱われませんでした。
Chromium issue: 1277002
Chrome の自動ダークテーマの更新
自動ダークテーマエミュレーションの UI が単純になりました。これまではドロップダウンでしたが、チェックボックスが使用されます。
さらに、Auto Dark Theme が有効なときに、Emulate prefers-color-scheme ドロップダウンが無効になり、prefers-color-scheme: dark が自動的に設定されます。
Chrome 96 で Android の Auto Dark Theme のオリジントライアルが開始されました。この機能を使用すると、ユーザーがオペレーティングシステムでダークテーマをオプトインしているときに、ブラウザはライトテーマが使用されているサイトに対して自動的に生成されたダークテーマを適用します。
Chromium issue: 1243309
タッチ操作で使いやすいカラーピッカーとスプリットペイン
タッチ画面デバイスで指やスタイラスを使用してDevTools上で色を選択したり、Drawer をリサイズできるようになりました。
以下は Google Pixelbook デバイスのタッチ画面をキャプチャした例です。
Chromium issues: 1284245, 1284995
その他のハイライト
今回のリリースでは、以下のような注目の修正点があります。
- CORS プリフライトリクエストの問題が Issues タブでレポートされるようになりました。 (1272445).
- User-Agent Client Hints の問題が Issues タブでレポートされるようになりました。 (1272445).
- Sources パネルでブレークポイントが削除されたときにブレークポイント編集ダイアログが閉じられるようになりました。(922513)
- DevTools でライト/ダークテーマを切り替えたときに、リロードが不要になりました。 (1278738)
プレビューチャンネルのダウンロード
Chrome Canary、Dev、Betaをデフォルトの開発ブラウザとして利用することを検討してください。これらのプレビューチャンネルでは DevTools の最新機能を利用でき、最先端のウェブプラットフォーム API をテストして、ユーザーが遭遇するよりも先にあなたのサイトの問題を見つけることができます。
Chrome DevTools チームとの交流
新しい機能や、この投稿の変更、その他 DevTools に関することであれば何でも、意見があれば以下のいずれかを使用してご連絡ください。
- 私たちへの提案やフィードバックはcrbug.comから投稿してください。
- DevTools の問題は DevTools の More options > Help > Report a DevTools issues を使用してレポートしてください。
- @ChromeDevTools 宛にTweetしてください。
- What's new in DevTools YouTubeビデオにコメントを残してください。
More DevTools features
関連する機能の完全なリストは、What's New In DevTools の英語版を参照してください。以下は、日本語に翻訳された内容の一部です。
Chrome 110
- 再読み込み時の Performance パネルのクリア
- Recorder の更新
- Recorder でのユーザーフローコードの表示およびハイライト
- レコーディング時のセレクタタイプのカスタマイズ
- レコーディング中のユーザーフローの編集
- 自動的な直接のプリティプリント
- Vue、SCSS などのシンタックスハイライトとインラインプレビューの改善
- Console での人間工学的で一貫性のあるオートコンプリート
- その他のハイライト
Chrome 109
- Recorder: ステップごとのCopy asオプション、ページ内リプレイ、ステップのコンテキストメニュー
- パフォーマンスの記録の中で実際の関数名を表示
- ConsoleとSourcesパネルでの新しいキーボードショートカット
- JavaScript デバッグの改善
- その他のハイライト
- [実験的] ブレークポイント管理の UX 改善
- [実験的] 自動的な直接のプリティプリント
Chrome 108
Chrome 107
- DevTools のキーボードショートカットのカスタマイズ
- キーボードショートカットでのライトテーマとダークテーマの切り替え
- Memory Inspector で C/C++ オブジェクトをハイライト表示
- HAR インポート時の完全な Initiator 情報をサポート
Enter
を押した時にのみ DOM 検索を開始- CSS のフレックスボックスプロパティ
align-content
にstart
とend
のアイコンを表示 - その他のハイライト
Chrome 106
- Sources パネルでの Authored / Deployed によるファイルのグループ化
- 非同期処理にリンクされたスタックトレース
- 既知のサードパーティスクリプトを自動的に無視する
- デバッグ中の改善されたコールスタック
- Sources パネルで無視リストに含まれるソースを非表示にする
- Command Menu で無視リストにあるファイルを非表示にする
- Performance パネルの新しい Interactions トラック
- Performance Insights パネルでの LCP タイミングの内訳
- Recorder パネルでの記録のデフォルト名称の自動生成
- その他のハイライト
Chrome 105
- Recorder パネルでのステップ・バイ・ステップ再生
- Recorder パネルでのマウスオーバーイベントのサポート
- Performance insight パネルに Largest Contentful Paint (LCP) を追加
- レイアウトシフトの潜在的な主要因であるテキストのフラッシュ(FOIT、FOUT)を識別
- Manifest ペインの Protocol ハンドラ
- Elements パネルの Top layer バッジ
- 実行時に WASM のデバッグ情報をアタッチ
- デバッグ中のライブ編集をサポート
- Styles ペインで @scope at-rule の閲覧と編集
- Source map の改善
- その他のハイライト
Chrome 104
- デバッグ中のフレーム再起動
- Recorder パネルでのスロー再生オプション
- Recorder パネル用の拡張機能を構築
- Sources パネルで Authored / Deployed でファイルをグループ化する
- Performance insights パネルの新しい User Timings トラック
- 要素に割り当てられたスロットの表示
- パフォーマンス計測のためのハードウェア並列度シミュレーション
- CSS 変数のオートコンプリート時に色以外の値のプレビュー
- Back/forward cache ペインでブロックしているフレームの特定
- JavaScript オブジェクトのオートコンプリート候補の改善
- ソースマップの改善
- その他のハイライト
Chrome 103
- Recorder パネルでのダブルクリックイベントや右クリックイベントのキャプチャ
- Lighthouse パネルでの新しいタイムスパンモードとスナップショットモード
- Performance Insights パネルでの改善されたズーム制御
- パフォーマンスレコーディングの削除確認
- Element パネルでのペインの並び替え
- ブラウザ外でのカラーピッキング
- デバッグ中の改善されたインラインでの値のプレビュー
- 仮想認証器での大きな blob サポート
- Sources パネルでの新しいキーボードショートカット
- ソースマップの改善
Chrome 102
- プレビュー機能: 新しいパフォーマンスインサイトパネル
- ライトテーマとダークテーマをエミュレートする新しいショートカット
- Network Preview タブのセキュリティ改善
- ブレークポイントのリロード改善
- コンソールの更新
- ユーザーフローレコーディングを開始時にキャンセル
- Styles ペインで継承されたハイライト疑似要素を表示
- その他のハイライト
- [実験的] CSS の変更をコピー
- [実験的] ブラウザ外の色を抽出
Chrome 101
- 記録されたユーザーフローをJSONファイルとしてインポート/エクスポート
- Styles ペインでカスケードレイヤーを表示する
- hwb() カラー関数のサポート
- プライベートプロパティの表示を改善
- その他のハイライト
- [実験的] Lighthouse パネルに新しいタイムスパンとスナップショットのモードを追加
Chrome 100
- Styles ペインでの @supports アットルールの表示と編集
- デフォルトで共通セレクタをサポート
- レコーディングのセレクタをカスタマイズする
- レコーディングのリネーム
- ホバーでクラスや関数のプロパティをプレビューする
- Performance パネルでの Partially presented frames
- その他のハイライト
Chrome 99
- WebSocketリクエスト数の制限
- Application パネル内に新しく追加されたReporting API ペイン
- Recorder パネルに要素が可視/クリック可能になるまで待機する機能が追加
- コンソールのスタイル設定、フォーマット、フィルタの改善
- ソースマップファイルを使用した Chrome 拡張機能のデバッグ
- Sources パネルのソースフォルダツリーの改善
- Sources パネルにワーカーのソースファイルを表示
- Chrome の自動ダークテーマの更新
- タッチ操作で使いやすいカラーピッカーとスプリットペイン
- その他のハイライト
Chrome 98
- プレビュー機能: フルページアクセシビリティツリー
- Changes タブで変更点のよりわかりやすい表示
- ユーザーフローレコーディングのタイムアウト時間を長く設定する
- Back/forward cache タブでページがキャッシュ可能であることを確認する
- 新しい Properties ペインのフィルター
- CSS の force-colors メディア機能のエミュレート
- ホバー時にルーラーを表示するコマンド
- Flexbox エディターで
row-reverse
とcolumn-reverse
をサポート - XHR のリプレイと全検索結果の展開に新しいキーボードショートカットを追加
- Lighthouse パネルの Lighthouse 9
- Sources パネルの改善
- その他のハイライト
- [実験的] Reporting API ペインに Endpoints を追加
Chrome 97
- プレビュー機能: 新しい Recorder パネル
- デバイスモードでのデバイス一覧の更新
- Edit as HTML でのオートコンプリート
- 改善されたコードデバッグ体験
- デバイスを横断した DevTools 設定の同期
Chrome 96
- プレビュー機能: 新しい CSS Overview パネル
- CSS の length の編集とコピーの挙動の復旧と改善
- CSS の prefers-contrast メディア機能のエミュレート
- Chrome の Auto Dark Theme 機能のエミュレート
- Styles ペインで JavaScript として宣言をコピー
- Network パネルの新しい Payload タブ
- Properties ペインのプロパティ表示の改善
- コンソールで CORS エラーを隠すオプション
- Console での適切な
Intl
オブジェクトのプレビューと評価 - 一貫性のある async スタックトレース
- Console のサイドバーの維持
- Application パネルの Application cache ペインの廃止
- [実験的] Application パネルの新しい Reporting API ペイン
Chrome 95
- 新しいCSSの長さ編集ツール
- Issues タブで問題を隠す
- プロパティの表示の改善
- Lighthouse 8.4 が Lighthouse パネルに
- Sources パネルでのスニペットの並べ替え
- 翻訳されたリリースノートへの新しいリンクと翻訳バグの報告
- DevTools Command MenuのUI改善
Chrome 94
- 好みの言語での DevTools の利用
- 新しく Nest Hub デバイスがデバイスリストに
- フレーム詳細ビューの Origin trials
- 新しい CSS コンテナクエリバッジ
- ネットワークフィルタを反転するための新しいチェックボックス
- Console サイドバーが今後非推奨に
- Issue タブや Network パネルでの未加工の
Set-Cookie
ヘッダーの表示 - Console での自身のプロパティとしてのネイティブアクセサの一貫した表示
- #sourceURL を使ったインラインスクリプトの適切なエラースタックトレース
- Computed ペインでのカラーフォーマットの変更
- カスタムツールチップをネイティブの HTML ツールチップに置き換え
- [実験的] Issues タブでの問題の非表示